HOME - 箱物見学記 - ピースおおさか
戦争と平和に関する多くの資料を収集・保存・展示するとともに、セミナー・講演会など学習と交流の場を提供することによって、世界平和の実現に貢献できることを願っています。(HPより)
所在地   大阪市中央区大阪城2番1号            訪問日 平成21年5月22日(金)         地図    
アクセス  JR大阪環状線森ノ宮駅下車、西へ約400m
管理運営   財団法人大阪国際平和センター
利用情報  休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は翌日)、年末年始(12月28日〜1月4日)、館内整理日(毎月月末)
        開館時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
        入場料:大人250円、高校生150円、小中学生無料、65歳以上及び障害者は無料
 大阪国際平和センターはピースおおさかと愛称で呼ばれる。その名前が示す通り、戦争の悲惨さを伝えて、平和を希求するため資料展示をしている。
 大阪城の南の一角にある。建物の入口は北側大阪城公園に向いているが、建物の南側の道路側から建物の下をくぐる通路を通って入口に行ける。建物の屋根は複雑なな幾何学模様をしています。これは、平和と云うもの多様なものが相互に認め合って同時に存在し得る世界であることを表現していると、パンフレットに説明があります。

正面玄関 建物は2階がエントランスホールになっている。南側の道路と大阪城公園の高さが、建物の一階分の差があるため、公園側の玄関がこの建物の2階になっています。受付に2名の職員の方がおられました。入館券の券売機があったのですが、念のためにシニアーの割引がないかを確認しました。65歳以上は証明するものを提示すれば、無料で入館できます。

 展示は、2階に展示室A、1階に展示室B、特別展示室、講堂があり、屋根のない吹き抜けの部分に「刻の庭」と云うのがあいます。3階に展示室C、映像コーナー、図書室などがあります。これらの入館者の利用空間の他に、事務室、収蔵庫、書庫などの管理スペースが取ってあります。

 展示室Aは、大阪空襲と人々の生活をテーマに、大阪大空襲を今に伝える実物の展示、映像による展示がしてある。エントランスを入って目の前には1トン爆弾の複製模型が2基展示されていて、入館者の目を引きます。映像は10分位のナレーション付きで、此の館の全体を説明したもの、大阪大空襲の記録が日本語、英語の二カ国語の選択で見ることができます。民家の防空壕の復元模型、焦土と化した戎橋界隈のジオラマが足下の床下に埋め込みで展示されている。
 展示室Bは満州事変から第2次世界大戦までの15年を「15年戦争」と云う括りで展示されています。1階には講堂があって、ここでは定時に、大阪大空襲にまつわる映画仕立ての映像を見ることができる。客席は150席位もある、最近はやりの小シアターの規模くらいの広さのもの。今日の16時の放映時の観客は私を含めてたったの2名だけです。
 特別展示室では、第5福竜丸展(ビキニ水爆実験から55年)が開催中で、第5福竜丸の名前を久しぶりに目にした。まだそれを問題にして展示をするのか、と思うとともに、世界平和のための核兵器の廃絶の重要性を、こんな形で伝えて今の時代に受け入れられるのか、と思ってしまう。写真・文字のパネル展示、現物の資料展示などを見せている。第5福竜丸をリアルタイムで知らない今の子供たちに、影響を与えられるものが果たしてあるのだろうか。入館者が少ないから、子供も大人もこの展示を見ないわけだから、どちらにしても影響ない。
 展示室Cは、平和の希求をテーマに、映像の展示が主なものとなっている。この他に映像コーナーがあって、DVD、ビデオ、カセットテープなどを視聴出来る。関連図書を閲覧することができる図書室も、展示室Cと同じ3階にありました。

 今日は、入館から約2時間で館内を見て歩きましたが、この間に入館者は私以外に3名しかいませんでした。入館者が少ないことは、この施設の「戦争を風化させないで、世界の平和を希求してゆくため」と云う立派な理念があっても、絵空事のように思えます。
 このようなお金にならないことでも、行政の施策として実施しなければならないことは理解できても、運営に工夫と努力をしなければ、お役人の天下り先の一つとしての箱物と受け取られても仕方がないのかもしれません。もっと人を呼び込むための努力を、お金をかけずに出来る方法に知恵を出してほしい。建物の立派さからして、規模からしてもこのままでは、廃止、またはほかの施設との統合で検討されても仕方がない。

建物南側スロープ 建物西側通路 2階玄関
以下は後日談です。

 平成21年5月27日に大阪府議会を傍聴しました。一般質問の中で、某議員からピースおおさかの入館者の少ないことについての質問があり、府民文化部長の苦しい答弁があった後、議員から知事への提案がなされました。知事は、いろいろのご提案を参考にさせていただくけれども、他から提案をされる前に、自ずから改善をし、入館者を増やすようにしなければならない、その意味では、現在の施設には厳しさが感じられない。と、手厳しい答弁があり、箱物行政に対する知事の固い決意を感じました。

平成21年11月12日の読売新聞に次のような記事が出た。

 広島平和記念資料館(広島市)や長崎原爆資料館(長崎市)など全国の平和博物館10施設が、戦争の写真や映像・音声などの所蔵資料を相互に貸し出し、共同で活用することを決めた。

 不況で自治体の補助金や企業からの寄付がカットされる中、企画展の質を維持するための経費削減が狙い。

 連携するのは、ほかに埼玉県平和資料館(埼玉県東松山市)、神奈川県立地球市民かながわプラザ(横浜市)、川崎市平和館(川崎市)、大阪国際平和センター(ピースおおさか、大阪市)、立命館大国際平和ミュージアム(京都市)、対馬丸記念館(那覇市)、沖縄県平和祈念資料館(沖縄県糸満市)、ひめゆり平和祈念資料館(同)。

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