鉱山で栄えた町 小坂

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秋田県鹿角郡小坂町小坂 JR花輪線十和田南駅下車秋北バス約25分 09年9月10日(木)訪問 地図

 小坂町は秋田県の北部に位置する町で、人口は6000余人の小さな町です。この町が、19世紀初頭に小坂鉱山の発見に伴い、金銀の採掘で栄えた。さらに明治時代には、銅・亜鉛の採掘も行われて、当時としては近代的な建物も建てられ大いに栄えたところです。明治期から大正期には鉱産額日本一で、最盛期には秋田市に次いで県下で2番目の人口を誇っていたこともある町です。

 この町には、鉱山のための物資と人の移動のための交通機関として、小坂鉄道が大館駅から小坂駅まで運行されていました。この鉄道は小坂精練が運営していたもので、旅客の取り扱いは1994年に廃止になったものの、物資(濃硫酸)輸送は2008年というごく最近まで続いていた。

小坂鉄道小坂駅舎明治100年通り明治百年通り
 小坂町に残された近代遺産を集め整備してまちづくりをするために、小坂鉄道の敷地跡を利用して造り上げたメインストリートがあります。小坂鉱山事務所、康楽館、天使館などが並んでいます。明治百年通りと呼ばれています。

小坂鉱山事務所
 明治38年(1905年)に合名会社藤田組小坂鉱山の本部事務所として建てられた。外観をルネサンス風に仕上げた漆喰塗りの白亜の建物です。木造3階建です。建物は平成13年に現在のところに移築された。国の重要文化財に指定されている。
 屋根にかかっている3つのドーマーウインドウ(飾り窓)が特徴的です。また、部屋の一つ一つの窓もペディメント(窓飾り)が付いていて、凝った意匠ながらもすっきりとしたデザイン感があります。正面玄関はサラセン風もしくはイスラム風といわれるバルコニー付きポーチになっています。バルコニー上部の透かし彫りは、光を通して見るとあたかもレース編みの如く見えます。
 内部は鉱山の資料展示のほか特産品ショップ、レストラン、交流ホールなど設けられて、小坂を訪れる旅行者にも、地域の人のも利用されるものとなっている。康楽館(芝居小屋)花園館(映画館)

娯楽施設としての劇場
 労働者が多く住まうようになると、そのための施設が建てられるようになり、芝居小屋、病院、映画館、教育施設などのインフラの整備がされるようになり、これらのものが当時としては近代的な建築物として建てられた。芝居小屋(康楽館)・映画館(花園館)などについてはココをご覧ください。

天使館(旧聖園マリア園)
 天使館は昭和6年(1931年)に建てられた、小坂鉱山の子供達を対象にした幼児教育施設でした。この建物は平成4年まで実際に使われていました。小坂鉱山事務所の道路を挟んだ向かい側に建っています。
 洋風建築ですが、外壁を下見板張りとして上部の妻の部分は白漆喰塗りこめ真壁造りで、和の要素も取り入れています。国の登録有形文化財に指定されている。

小坂精練所工場郡小坂鉱山
 今も操業を続けています。明治百年通りの北の外れから右に折れて、旧の町並みから山手の方に歩きます。煉瓦作りの長く続く建物は、縦長の上部に曲線でデザインされた窓と、張り出した柱との意匠が目を引きます。今も当時のままの姿で健在です。その先に精錬所があります。
 道路はときおり車が行き交うだけで山間の工場街の佇まいを感じます。小坂の町の本当の姿がここにあるようです。この道を北に下ると小坂町役場が建っている昔からの商店街が並ぶ町並みに続きます。今はもう昔の隆盛を極めていた時のような賑わいがありません。

旧工藤家住宅
 この建物は、明治百年通りから西約500mほどのところ、町立郷土館の先にある。小坂町で見るべき建物で唯一の純和風の古民家です。元小坂町の地主であった工藤作兵衛の私邸を町が寄贈を受けて公開している。母屋に併設した蔵も残されています。
 明治18年(1885)に再建された建物。当時の建築様式を伝える重要な建物として小坂町指定文化財になっている。


小坂鉱山事務所
正面

バルコニーの
透かし彫り

らせん階段

小坂鉱山事務所

旧聖園マリア園

レンガ造りの工場

旧工藤家住宅
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