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重伝建選定 199708/07/09
福井県三方上中郡若狭町熊川 JR小浜線小浜駅下車JRバス約30分 2007年3月10日(土)訪問 地図
湖西線の近江今津駅で降りて、駅前からJRバスに乗り換える。30分程で熊川に着きます。バス停は橘町、若狭熊川、下新町とあるが、宿場の入口に一番近い橘町が便利。帰りはやはりJRバスでJR小浜駅まで30分程で戻ると変化のある行程となります。ちなみに、この日は青春18きっぷを利用しての一日です。
最近耳にすることが多くなった鯖街道は、若狭から京都へ至る多数の街道や峠を総称して鯖街道と呼ぶようになった。これは戦後になってからのことであるらしい。「熊川宿の観光客の呼びかけのために、鯖街道の宿場町として売り出したところ、鯖街道が先に有名になってしまって、熊川宿はまだそれ程知られていないんです。」こういう説明を宿場館(熊川宿資料館)の係りの方がして下さいました。
熊川宿の歴史は古く400年以上も遡るものです。一時は200戸を越す宿場町としては発展しました。地理的に風の通りやすい位置にあるため、一度火事が起こると大火になることが多く、また、近隣からの貰い火などもあり、現在に至っているようです。そのため町屋は防火を目的とした塗込造のものが多い。また、隣家からの延焼を防ぐために袖壁卯建をもった家屋も見受けられます。
熊川宿の町並の特徴の一つは、街道に面してさまざまな形で建物が立ち並んでいることです。平入の町屋と妻入の町屋が混在していたり、真壁造と塗込造が混在していたりする中に、土蔵が建っていたりします。これは、この町が何度もの大火に見舞われたための結果として特異な町並みの形成になったのでしょうか。
熊川宿のもう一つの特徴は、豊富な水量を持った流れの速い前川が流れていることです。この水とこの流れを利用した生活が熊川宿にはあります。かわとという仕掛けと、芋車という道具がいまも訪れるものに、昔の生活の様子を語りかけてきます。
宿場の上ノ町側の入口には、熊川番所が復元されています。元の位置のままに復元されこれは、全国でも唯一の物のようです。役目を終えたこの番所は一般の民家に改造されて利用されていたということです。宿場町整備の事業として復元されましたが、古材の使用可能な限り利用したことや、復元前の民家の様子などそのときの様子を知るこの番所の係りの方からお話しを聞きました。
熊川宿では、旧逸見勘兵衛家住宅(町指定文化財)、宿場館が有料の入館施設になっています。宿場の歴史、鯖街道の役割と衰退を資料を通して知ることが出来ます。直接説明していただけるのもうれしい。旧逸見勘兵衛家住宅は伊藤忠商事二代目社長となった伊藤竹之助翁の生家で熊川を代表する町屋の一つです。宿場館は元熊川村の役場で、伊藤竹之助翁が寄進して建てられたものだそうです。