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重伝建選定 2000/12/04

土蔵造りの商家の町並み 高岡市

富山県高岡市  JR北陸本線高岡駅  2008年1月8日(火)訪問 地図

 高岡の街には路面電車(万葉線)が走っている。駅前の道をこの路面電車に沿って歩く、途中路線は交差点を右折して方向を変えるが、土蔵造りの町並みはさらに直進して木船町の交差点まで歩く。およそ10分で歩ける距離です。この交差点から左右に約600mに明治時代に建てられた商家が軒を並べている。この通りを形成する各町が御車山を所有していることから、山町筋と呼ばれている。
 この町は明治33年の大火以降に建てられた優れた防火建築です。建物自体が漆喰塗りごめの蔵造りとなっているのはそのためです。ただ、防火対策としての卯建が挙げられている家屋がありません。それに代わる防火の手立てが取られています。

菅野家住宅(木船町)菅野家住宅(重要文化財)
 山町筋には一般公開されている建物が2棟あります。そのうちの一つがこの菅野家住宅です。実際にはこの建物にご当主がお住いなので一部分を公開しているだけです。訪れた日がちょうど休館日(火曜日)で拝観できませんでした。通りを挟んだ向かい側に観光案内所と張り紙がしてある店があり、高岡の町の歴史など聞くことができました。お話し好きのご老人で、いろいろな資料を見せながら説明を受けました。

 主屋は切妻造り桟瓦葺2階建て平入りで、黒漆喰造りの重厚な建物です。1階には本瓦葺の1軒の庇があり、その両側に隣家と遮断する防火壁を設けてあります。土塀の前面には御影石で作った太い石柱を立て、側面は釉薬をかけたレンガで覆ってあります。庇の天井飾りは鏝絵のランプ吊りがあしらわれている。庇を支える鋳物の柱にもこまやかな装飾が施されている。有事の際に引き出して使用するための鉄板を張った防火戸も設けられている。2階の窓は観音開きの土扉が設けられていて、ぴったり閉ざ筏井家(木船町)すことで内部への類焼を防ぐようになっている。
 棟の造りにも高岡の町ならではの特徴的なものがある。この菅野家にもそれを観ることが出来る。棟を更に高くした上に棟瓦を乗せている。この高くなっている部分は箱棟と呼ばれるところで、ここに乗せられる棟瓦が雪割瓦とよばれている。瓦の上に突起状のものが付いている。降り積もった雪は決して棟瓦の上にはとどまらないように考えられたものと思う。

赤レンガの銀行筏井家住宅(県指定有形文化財)
 この家屋も高岡の土蔵造りの特徴を備えた建物です。菅野家住宅、下の写真の小馬出町の鈴木家のものと比較してみると2階の観音開きの土扉が、すべて開け放った時に隣の扉と一体化して納まるように設計されているところが特徴的です。

町並みに見る洋風建築
 土蔵造りの町並みの中にあってレンガ造りの建物(富山銀行)、正面だけを洋風の造りとした和風建築物(井波屋仏壇店)などが、違和感なく溶け込んでいるところも山町筋の見どころとなっています。


木船町

木船町看板

小馬出町鈴木家

資料館
旧室崎家

鉄板を張った防火戸

雪割瓦
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