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乙女座 芝居小屋設備:
 奈落・花道・義太夫席・桟敷席・大向こう席・擬宝珠付き高欄
 鳥屋
文化財指定:指定なし    創建年:1937年(昭和12年)
所在地 広島県呉市豊町御手洗                         訪問 平成21年8月5日
JR呉線竹原駅からしまなみ海運の高速艇で御手洗港下船                        地図
乙女座正面 ここ御手洗にも芝居小屋が残っていました。残っていたという表現したのは、御手洗を訪れてそのことを初めて知ったからです。これまでに既に7か所ほどの全国各地の芝居小屋を巡ってきたし、これから訪問したい芝居小屋もリストアップしていたが、御手洗に乙女座という芝居小屋のあることを知らなかった。
 全国にはまだまだ知らないところに古い芝居小屋が残されているのだろうが、それらの多くのものは娯楽の少なかった時代の戦後に建てられたものが多く、自分の子供のころに既に興行を終えていた劇場や映画館に模様替えしたところがあったのを覚えている。それらのうち今でも大衆演芸場として残り、旅回りの一座が定期公演をしているものがあると知っています。
 乙女座はそれら劇場とは建築年代においても、内部の構造においても一線を画すものだと思いましたので、全国芝居小屋巡りに加えてみました。
 昭和12年(1937年)に建てられた乙女座は、当時としては、その建物は建築の粋を集めたモダンな建て物で一際目立ちつものでした。平成14年3月に現在の形に復元されました。今の時代にあっても当時からこの形で建築されたのかを疑うほどのモダンな建物です。
 戦後は昭和の30年代まで映画館として興行をしていたとのことですが、その後、ミカンの選果場として使用されていた。平成14年に現在の形に復元された。復元された舞台、客席などを見ると、まさしく芝居小屋です。洋風モダンな外観からは想像がつきません。 

乙女座平面図 画像拡大します 回り舞台こそありませんが、花道、奈落、舞台上手に設けられた義太夫席、2階席の欄干などの造りは歌舞伎も演じられる様な雰囲気をもった劇場になっています。
 花道は、平場の客席と桟敷席の間を隔てるような形で、客席を貫いて設けられるのが普通ですが、乙女座では下手側に桟敷席がなく、花道が劇場の端にあります。鳥屋口辺りの花道の端に奈落への入口が設けられていることも、一般的な奈落への出入り口(切穴)の位置とは違っています。
 平場の席は畳が敷き詰められています。建築当時には枡で仕切られていたのか、今のままの姿になっていたのかを伺ってくるのを忘れました。この平場の席の奥にも縦長の畳敷きの席が通路を巡らせて設けられている形も、他の芝居小屋では見かけない形です。
 先にも書きましたけれども、外観が洋風モダンな造りになっていて、内部には純和風の設えになっている対比は、脇町劇場(徳島県)にも見られましたが、乙女座は特筆するに値するだけの変化の妙を持っています。
 舞台の緞帳を下ろして見せていただきましたが、白を基調としたもので、この町のシンボル的存在の高灯篭を手前に大きく配置した住吉神社の姿を、西陣織で織り上げた立派なものでした。

 この劇場では、地元の方のおどり、お芝居などが催されることがあるようです。火曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始を除く日の9:00~17:00に一般150円で内部の見学ができます。


乙女座の正面

舞台上手大夫席

2階席から1階
花道と鳥屋口も見える

2階の大向こう席と
映写室

2階席より舞台を見た

舞台から客席
花道が一部見える
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