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住吉大社 御田植祭
住吉大社 大阪市住吉区住吉2丁目9-89  南海本線「住吉大社駅」から東へ徒歩3分ほか  訪問日 09/06/14
 
稔りの秋を予祝する神聖な行事
御田植神事を告げる看板 田植えに当って、田の神を祭るのは、およそ稲作のはじまりとともに始った。今も規模の大小こそあれ、全国各地に田植まつりは行われているが、中でも特に盛大ではなやかなものとして有名なのが住吉大社の御田植神事である。「御田」と呼ばれる。
 毎年六月十四日住吉大社では、祭儀に続いて境内の約二反歩(約2300u)の神田に田植えをする間、中央の舞台と田のくろ(畔)で、農作を予祝する行事が行われるのである。
 社伝によれば、約千八百年の昔、第四本宮の御祭神である神功皇后が大社を御鎮祭の後、長門国から植女を召して御供田植えさせられたに始まるという。植女は旧社領の堺乳守に落ちついて代々奉仕した。植女は後に乳守の遊女になったので遊女たちも実際には田にも入ったが、何時の頃からか替植女に苗を渡して、代わりに田に入るのは実際の農家の婦人等となっている。
 明治維新以来、植女は新町廓の芸妓が奉仕することになった。維新に際して中絶した時、新町廓が御供田を奉納した縁故による。現在は(財)上方文化芸能協会の奉仕である。御田植神事の芸能は昭和四十六年十一月十一日無形文化財に選定され、更に昭和五十四年二月三日芸能はもとより農作業にいたるまで重要無形民俗文化財に指定されました。(パンフレット「住吉の御田」より由緒を抜粋)

御祭牛による代掻き粉黛・戴盃式と本殿祭の儀
 祭儀は、粉黛・戴盃式が午前中に執り行われる。この儀式は非公開で行われる。午後から、本殿祭の儀が第一本宮(平成21年度は式年遷宮の年に当たっていて、第4本宮がこれに充てられた。)で行われる。先払いの奴を先頭に神事に奉仕する者が行列を作って、本殿に参進して祭典が行われる。神前に供せられた早苗が植女に手渡されて祭儀が終わる。
 行列をなして参進してくる様子を本殿に至る境内で写真を撮った後に、場所を移して神田のまわりの観覧席に移動する。観覧するための観覧券(1000円)を祭典受付で前以て買っておくとよい。もっとも、観覧料を払わなくても御田の南側の一般道からも見ることができ、少し早目に(12時ころ)場所を取って待てばよい。この場合、本殿祭の本宮への参進を見ることができない。植替女による田植え    

御田式場への参進
本殿の儀を済ませた後、先払いの奴行列に引き連れられて、祭に奉仕する者たちが御田の式場に参進してきます。神田の廻りをひと廻りして、それどれの控え所に入ります。
 奴の行列の後に武者と雑兵の行列が続き、笙・篳篥・横笛の楽人が5人、宮司以下の神官、八名の八乙女、御稔女、植女、御神水、赤い襷と菅の笠を付けた植替女が続きます。御稔女は平安朝の女官の装束を身にまとっている、植女は特殊な形の帽子を被って、従者が傘を差しかけて行進してきます。最後に住吉踊りの地元の小学生・幼稚園児と思われる大勢の踊り子さんの入場とつながります。

奴の行進 植女 八乙女
御稔女 早乙女(植替女) 住吉踊りの踊り手
御田式場の儀
 御田(田植をする水田)が境内の西側にある。御田の真ん中に舞台が設けられている。折り畳み椅子を並べただけの簡単な観覧席が御田の北側の設けてある。御田の周りはぐるりと回遊する通路が取ってあって、舞台での芸能の奉納と、田の中での祭牛の代掻き、外観の通路での神事に奉仕する者たちの行進、演技などが行われる。
 御田式に先立って、祭牛による代掻きが行われるが、祭牛は、この日の為に実際の田で練習をさせて田に入ることに馴らしておくという説明がありました。最近は、人間だけでなく牛も田植を経験したことがなくなっている。
 先ず修祓と呼ばれる儀式が始まる。神官が甕に入った御神水を舞台から御田の四方に神神水を田に注ぎ田を祓い清める。修祓に引き続いて早苗の授受が植女から植替女に引き継がれ、植替女は田に降りて植え付けを始める。これ以降の儀式と舞の奉納などは、中央の舞台で執り行われるが、その間に、御田では植替女、奉耕者によって苗の植え付けが進んでゆく。中央舞台での各儀式が終わるころには、御田が緑の早苗でおおわれて植え付けが終わる。
 舞台の上では、八乙女による田舞があり、御稔女(みとしめ)による神田代(みとしろ)舞と続く。御稔女は芸妓に優れた者が一人選ばれ、豊穣祈願の神楽を舞う儀式です。この後も風流武者行事、棒打合戦、田植踊、住吉踊と続きます。2時間余の時間をかけて、ゆっくりと厳かに、また、賑々しく執り行われた祭りが幕を閉じます。
修祓(神田の祓い清め) 早苗の授受 八乙女による田舞
御稔女の神田代舞 早乙女の田植踊 住吉踊
田舞の歌
 田舞は八乙女の舞であるが、住吉大社に伝わる巫女舞の一つであり、この日の田舞の舞手は住吉大社の8人の巫女が務める。ここで歌われる田舞の本歌の後半部分が、枕草子205段「賀茂へまいる道に」の段に記録されているもので、これが住吉大社の田舞の歌として伝承されている事実は、御田植祭が重要無形文化財として価値のあるものを裏付けています。 
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