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大阪府立上方演芸資料館 大阪ならではの個性的な文化である上方演芸が時代の変遷につれて風化することのないように、上方演芸に関する資料を収集・保存して、後世に引き継ぐとともに、時代にふさわしい新しい上方演芸の創造を促し、大阪文化のより一層の振興と発展に貢献することを目的として開設された。
1996/11/15 開館
所在地  大阪市中央区難波千日前12−7 YES・NAMBAビル   訪問日 平成21年9月21日(月)     地図
アクセス  地下鉄・南海・近鉄など各々難波駅下車約5分、なんばグランド花月向い
管理運営 事業主体大阪府、ニューウエーブ日東大阪に委託運営(公式HP
利用情報 
休館日:毎週水曜日(休日の場合は翌日)、年末年始(12月27日〜1月1日) 開館時間:11:00〜18:00(入館は17:30まで)
入場料:大人400円(320円)、高・大学生250円(200円)、小中学生150円(100円)、障害者無料(  )内は20名以上の団体
 ワッハ上方が入っているYES・NAMBAビル大阪南の繁華街千日前の一等地にある。都市型の娯楽施設的な性質を持っているから、場所的には繁華なところが選ばれたのであろう。まん前に吉本会館の建物があって、ここが、関西のお笑いのメッカなんばグランド花月である。ワッハ上方はYES・NAMBAビルの4階から7階を吉本興業から賃借している。

 4階が小劇場を含む展示室となっている。5階にワッハホール、6階に事務所、7階にレッスンルームを置いている。一般の観覧者に用事のあるのは4階の展示室ということになる。訪れた日が、5連休の真っただ中の祝日ということもあって、館内は入場者が多数いて、箱物を見学したときに感じる閑散とした感じは全くない。
常設展示「居酒屋こいさん」 丁度、高齢者福祉月間(9月1日〜9月29日)の期間中で、65歳以上の高齢者は4階の展示室が無料で入場できる日であったことも、来館者が多かったせいなのかもしれません。

 この日は、「上方亭(小演芸場)」で若手の芸人の漫才、落語などの出し物があって、約50席ある全てが埋まっていて、隣にある「からくり劇場」まで観客でいっぱいでした。    

 展示物としては、常設の展示コーナー「演芸早わかり散歩道」に、上方演芸と上方喜劇の歴史の時代年譜と、初代春団治のゆかりの品、横山エンタツ愛用のカバン、花菱アチャコの帽子、ダイマル・ラケットの直筆漫才台本などの実物展示がある。上方演芸の殿堂入りした名人たちを写真、映像と音声、パネルなどで展示した「殿堂ギャラリー」、上方演芸のレコードとラジオ番組を音声で楽しめるコーナー「ミルクホール・スタア」、テレビ時代の人気スターたちの映像をモニターで楽しめるコーナー「居酒屋こいさん」などがあります。

ミルクホール・スタア 演芸早わかり散歩道 殿堂ギャラリー
 展示とは別に「演芸ライブラリー」のコーナーが部屋を仕切って設けてあります。ここには、テレビ映像が900本、ラジオ音声が1600本このほかに市販のDVD、ビデオ、CDなどもそろっています。演芸、喜劇に関する図書が約1000冊蔵書されていて閲覧が可能です。
 「演芸ライブラリー」のみの利用は無料になっている。4階の展示室の出入り口を通らなければ「演芸ライブラリー」の部屋に行けない造りになっているのに、この部分だけ無料になっているのはどうしてなのかという疑問が残ります。
資料館入口 演芸ライブラリー 小演芸場(上方亭)
赤い人力車 館内見取り図(写真拡大します) なんばグランド花月
はたして大阪府立上方演芸資料館は箱物施設か

 年間5,000万円の収入に対し年間経費4億3,000万円がかかる当施設はどうしても存続させなければならない施設ではない。採算が合う合わないに関わらづ、インフラの整備は行政庁がやらなければならない事業ではある。こと文化的事業についても例外ではない。しかし、行財政に余裕がなければ、優先順位の低いものはこれを廃止または縮小せざるを得ない。
 ましてや、<歴代の館長が例外なく在阪準キー局のプロデューサー出身者であることから府の財政を使い吉本興業が準キー局との関係を強化し便宜をはかる癒着の温床になっている嫌疑がかけられている。><周辺の賃料1坪当たり平均6,000円程度の物件に25,000円近くの賃料を支払っている>(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)などで府民の税金が正しく使われていないとなればなおさらのことである。
 年収200万円といわれる時代に、高給を得て退職された方の第二の職場を確保するための施設であっても困る。この施設で働かれている実働の職員は、きっと高くない報酬で働いておられるのではないでしょうか、施設内でガイドをなさっておられるボランティアさんもいらっしゃいます。この方たちも、含めても年間の運営費に占める割合が嵩が知れていると思います。極一部の人の人件費が突出して高いのではないでしょうか。
 優先順位からして、府立の図書館分室の方が必要度が高い。大阪府には府立の図書館が中之島と東大阪の2館しかない。考えようによっては、上方演芸資料館などよりもこっちの方が優先されてもよい。

 ワッハ上方を巡る状況 (平成21年12月29日の追記)

 (平成21年12月28日の報道)
 現地存続か移転縮小かをめぐり、結論を持ち越していた大阪府の演芸資料館「ワッハ上方」について、大阪・橋下府知事は条件付きで現地存続することを決めた。
 橋下知事は28日朝、ワッハ上方の移転先の候補だった「通天閣」の西上社長に移転を断念したことを伝えた。移転はコスト削減などを図りたい橋下知事の意向だったが、ワッハ上方を運営する「吉本興業」と放送局側が府からの運営費を事実上ゼロとする改善策を提出したため、橋下知事は現地存続へ方針転換した。
 ワッハ上方の入場者数は現在年間5万7000人だが、橋下知事は、吉本興業側が目標とする40万人を達成しなければ閉館にするとの条件をつけた。

 報道の通り、移転縮小されることなく現状のまま存続することになったようだが、府からの運営費がゼロで存続できるものなら、今までは何だったのだろうかということになってしまう。年間5万7000人しか集客できなかったものが、40万人を目標にしてそれが可能なのか、もし実現可能な目標ならば、この点でも今までは何をしていたのかという疑問が残る。
 箱物は、施設の存在意義と利用価値等が伴うことで、立派な文化施設などの機能を発揮するから、廃止することがないような運営努力を望みたいものです。今後の在り方に注目したい。

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