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倉敷市玉島 備中松山藩の外港    岡山県町並み保存地区
町並み分類:港町
文化財:旧柚木家住宅主屋及び御成門・茶室など(国の登録有形文化財)
公開施設:旧柚木家住宅(無料)
岡山県倉敷市玉島中央町・玉島阿賀崎・玉島柏島など        2010年12月10日(金)訪問     地図 
JR山陽本線新倉敷駅下車、両備バスまたは井笠バスで玉島中央町バス停下車、乗車約7分
 玉島の町は、「岡山県町並み保存地区」に指定されている。保存地区は3ヶ所に分かれていて、溜川の北側の新町地区、南側の旧柚木家のある地区、里見川の西側の仲買町地区となっています。この地区とは別に、仲買町の指定地区から南に約10分ほど歩いたところの天満町辺りにも古い町並みを見ることが出来ます。

仲買町(玉島阿賀崎)の町並み 玉島は、江戸時代になって新田開発で埋め立てられたところで、備中松山藩の飛び地であったところです。高梁川を下って運ばれる物資を、玉島の港から千石船に積み替えられて、大阪ほか諸国に運ばれました。
 町並み指定地域の新町地区には、200棟にもおよぶ蔵や土蔵が立ち並び、蔵から直接にの船積みが出来るように、河岸には雁木が造られていたそうです。この道筋の南側にはおもに蔵と土蔵が、北側には母屋を持った商家が立ち並んでいました。いまも、道筋の両側で家並みの様子が違っていることが分かります。建物に連続性がありませんが、残された建物は、いかにも保存が進んでいるという雰囲気を持って建っています。各建物に、建物の由緒などの説明が付けてあります。

 この新町とは溜川を挟む対岸に旧柚木家の建っている通りがあります。ここは、埋め立てられる前から島(陸地)であったところで、玉島の大庄屋柚木家が藩主の御座所として建てたものです。
 旧柚木家住宅は国の登録有形文化財に指定されています。藩主のために立てられたもので、当主の柚木家が住居として使用するものでなかったところです。
 御成門を入ると、式台玄関があり、取次の間、次の間、上の間が、他の各部屋より一段高く造られています。建物の内部を時間をかけて説明していただけて、拝観料が要らないというのが嬉しいサービスです。

 新町筋の西、里見川を渡ったところは、仲買人が蔵を構えた町として存在していたところで、こちらの町並みは、建物の老朽化が進んだものも見受けられますけれども、建物の連続性は、新町の町並み以上のものがあります。この通りには、醤油湯醸造の店と、菊池酒造と云う酒蔵があって、今も生活の中にあるという息吹きが伝わります。ただ、保存が充分に進んでいないことが、少し残念に思います。本瓦葺きに虫籠窓を持つ家が多く、虫籠窓の意匠、二階家の背の高さの変化も見られます。

 天満町といわれる町並みは、仲買町から河口のほうに10分ほど行ったところにあります。現在の町名では玉島柏島になりますが、天満町を冠した名前の建物などが残っています。ここは、数多くの旅館や遊郭の建物が存在したところで、建物の2階の手摺りなどに欄干を持つ雰囲気のある建物が、多くは無いけれども残されていました。
 天満町までの道すがらにも、本瓦をつけた古い建物が散在しています。なかには、水切り庇をつけた蔵もありました。隣接する倉敷市連島でも、水切り庇を見かけました。

 歴史的町並みの町にあって、町の東側にアーケードを持った通り町商店街があります。商店街は例によってどこも同じように寂れてきていますけれども、昭和の雰囲気を漂わせています。よく見ると、建物の屋根に、元の建物の本瓦で葺いた屋根が垣間見え、商店街を外れてさらに進むと、まだまだ古い建物が残されていました。
 また、溜川遊水地では川面に迫り出して建てられた家屋を見ることが出来ます。この遊水地には浮橋や水門なども見られます。

川面に迫り出して建つ家屋 通町商店街を横に入ったところ 旧柚木家の御成門
旧柚木家(右)のある通り 新町筋の廻船問屋(西綿屋) 新町筋の穀物問屋(若屋)
海鼠壁、虫籠窓などの家並み(仲買町) 天満町の佇まい 天満町への途中(水切り庇のある蔵)
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