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嘉 穂 劇 場 芝居小屋設備:
 回り舞台・奈落・迫上り・スッポン・花道・仮花道・綱元・義太夫席・・囃し方席
 枡席・木戸口・鳥屋・鳥屋道・険番・大向こう席・桟敷席・ぶどう棚・下足場
文化財指定:登録有形文化財・近代化産業遺産 創建年:1931年(昭和 6年)
所在地 福岡県飯塚市飯塚5−23                       訪問 平成20年12月21日      地図
JR筑豊線飯塚駅下車徒歩約15分
建物の規模
嘉穂劇場全景 嘉穂劇場はどの芝居小屋よりもその建物の大きさにおいて抜きんでている。舞台の上に立って回り舞台を見た時にその異常ともいえる大きさに気が付きます。建物は、間口15間(27m)奥行が23間(42m)と紹介されている。
 今までに見てきた金丸座、永楽館も大きい建物であったけれども、嘉穂劇場はそれよりも大きい建物です。そして回り舞台の大きさは群を抜いて大きくて15.8mもあるそうです。

建物の沿革
 この地に劇場が建てられたのは大正11年(1922年)のこと、大阪の中座を模して建てられた3階建ての建物に始まります。その後に火事、台風による倒壊などがあり、昭和6年(1931年)に嘉穂劇場として落成しています。
 平成15年の豪雨に被災して大きな被害を受けた後、翌年の9月に復興しています。1931年の落成から現在に至るまでとだえることなく興行を続けていることにおいても、他の多くの芝居小屋にはない特徴です。    

舞台および装置
 先にも書きましたが、嘉穂劇場の回り舞台は大きすぎるくらいに大きなものです。それはそのまま舞台全体が大きいことを表すものでもあります。この大きな回り舞台には少し小さめのセリが設けられています。それが180度向かい合う位置に2か所あるのも他の劇場では見ない例です。
 舞台の脇の装置は大夫席であったり、囃子方の席であったりは、大体決まったつくりになっています。舞台の天井がぶどう棚になっている、芝居で使用する道具の上げ下ろしに使われるロクロといわれる装置は舞台の両袖に設けられている。嘉穂劇場では下手側に設けられていて、「綱元」と読んでいます。舞台後方に小道具部屋などが設けられているのは多くの芝居小屋と同じつくりだと思います。
 奈落への入口は鳥屋に設けられる例が多いのですが、ここ嘉穂劇場には舞台上にも設けられています。これも他の劇場では見かけないものではないでしょうか。
 舞台の下手側に客席を貫いて鳥屋まで花道が付けられています。花道には舞台から3分の一の場所にスッポンが設けられています。もう一方、上手側には少し幅の狭い仮花道がついています。花道側の鳥屋には奈落への入り口が設けられています。    

舞台から客席を見る客席
 一階の平場は枡席になていて、一桝が6人席になっています。平場には花道と平行に2本、舞台に平行に1本の通路が設けられていて、枡席への出入りを容易にしてあります。これは劇場が大きくて収容者数が多いための配慮だと思われます。
 一階の大向こう席とその上階の二階席、平場の左右にもお受けられた桟敷席とその上階席があって、1236人を収容するといわれています。2階の大向こう席は階段状に3段のひな壇になっています。
 一階大向こう席の下手の鳥屋側に検番が置かれていて検閲の警察官の詰めるための場所が設けられています。    

奈落とセリ上がり装置
 舞台下の奈落に降りてみると、回り舞台の装置、迫上がりの装置が見学できます。ここ、嘉穂劇場では回り舞台の2か所のせり上がり装置と、花道へのセリ上がりであるスッポンのための、合計3っつのセリ上がり装置を見ることができます。舞台を回転させることもせり上がりを上下させることもすべて人力で行われます。
 花道の下を鳥屋からの奈落の出入り口までの通路は鳥屋道と呼ばれています。昭和初期の懐かしい公演のポスターなどが貼ってありました。    

見学について
 年間に何日かの公演があります。公演のない年末年始を除く日に館内の見学ができます。舞台から客席、奈落の装置を見て最後に2階の展示室を見るようになっています。利用料は300円です。

綱元 舞台上の迫 舞台上の奈落への出入口
鳥屋にある奈落への出入口 回り舞台装置と迫上がり装置 スッポンの迫上がりと鳥屋道
舞台から客席 二階大向こう席から舞台を見る 上手の仮花道と桟敷席
花道の先の鳥屋と検番 資料展示の一例(下足札) 舞台裏の道具庫
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